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令和5年の相続税の申告実績が公表されました

2025年がスタートしました。本年も定期的に記事を更新していきますので、よろしくお願いいたします。

 

国税庁は2024年12月18日に、「令和5年分 相続税の申告実績の概要」及び「令和5事務年度(※1)における相続税の調査等の状況」を公表しました。

 

令和5年分の被相続人数は157万6,016人(前年比0.4%増)、そのうち相続税が発生する人数は15万5,740人で、課税割合(被相続人のうち相続税がかかる人数の割合)は9.9%でした。これは昭和42年分以降で過去最高です。

 

課税割合だけではなく、課税価格の総額も21兆6,335億円で、昭和42年分以降で過去最高を更新しました。

相続財産別の金額では特に有価証券が3兆8,779億円(前年比8.6%増)と大きく増加しており、他にも現金・預貯金等も前年より4.4%増加し、すべての項目で増加して過去10年分で最高となりました。

相続税の税額についても、3兆53億円で、前年より7.4%増加しています。

 

また、実地調査による追徴税額は8,556件(前年比4.4%増)あり、そのうちの非違件数(修正申告が必要な件数)は7,200件(前年比2.3%)で、追徴税額は735億円(前年比9.9%増)でした。

 

税務調査には実地調査の他に色々な形態があり、最近国税庁が力を注いでいるのが「簡易な接触」という調査の方法です。

「簡易な接触」とは、申告書上で誤りや疑いのある数値が発見された場合、その内容を電話や文書により納税者に連絡し、自主的に申告書の見直しをしてもらうというものです。

 

令和5年事務年度の、この簡易な接触の件数は18,781件(前年比25.2%増)で、そのうち非違件数は5,079件もあり、前年よりも37.8%も増加しています。そして簡易な接触による追徴税額は122億円にものぼり、前年よりなんと40.2%も増加しています。この金額は公表を開始した平成28事務年度以降で最高となっています。

 

国税庁は納税者のコンプライアンスの維持・向上を図るために、「簡易な接触」は非常に重要な施策として捉えていますので、今後もさらに件数は増えていくものと思われます。

 

万が一税務署から「簡易な接触」があった場合には、誠実かつ真摯に対応することが大切です。曖昧、不誠実な対応を行うと実地調査に移行される可能性があります。

実地調査になってしまうと、日数もかかる上、新たな問題点が指摘される恐れもあります。

税務署から連絡があった場合は、すぐに税理士に相談することをおすすめいたします。

 

 

※1 税務署では7月1日~翌年6月30日を事務年度としています